「ガンバレ」と言う

「最近の若者は」と、若い世代をなじる言葉を聞かなくなったのは、大人たちの世代がどこか「疾しさ」を覚えているからかもしれません。

 

近年リリースされる新曲を聴けば、還暦も近い「大御所」のアーティストが、若者に向けて「ガンバレ」と歌うことに違和感を覚えることがあります。

少年少女にとっては、もう立場がそっくりある大人に「ここまで成り上がって来い」と言われているようにすら感じないでしょうか。

 

私はもはや「成功」というビジョンは、これまでの時代にあったものには求められないと思います。

むしろ今の若者たちにとってのテーマは「幸せになれるかどうか」であり、この世の中に握り潰されないように生きていくことなのではないでしょうか。

 

そんな中で世に「金」や「名誉」を求めれば、大人たちの踏んだ轍を素直になぞっていくに越したことはありません。

それが若い世代にはわかりきっているからこそ、「ガンバレ」という歌が空虚に聴こえるように思えてなりません。

 

ただ「ゼロ」から始めようとする若者たちに対して、私からも「ガンバレ」以上に掛けられる言葉はありません。

むしろ、私も一旦「ゼロ」に戻した側だからこそ、若者たちの抱える不安は決して他人事ではないのです。

 

これからの時代を生きる人たちは、「自分らしい幸せを手に入れる」という些細な願いを叶えるために、かなり理不尽な逆境を乗り越えていく必要があります。

私は一人の大人として、そんな若者たちに「一緒に成功しようぜ」というエールを贈るつもりはなく、世の中が少しでも生きやすくなるよう、私が「ガンバル」と約束することしかできません。

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